永井龍男

青梅雨 (新潮文庫)

青梅雨 (新潮文庫)

面白かった。特に好きなのは「狐」「冬の日」。当然のようだけど、一つひとつの作品が(話が続いているものはあるけど)独立していて、その終わりが見事なので、読み終える度に読み手もその都度完結できる。あっという間に読み終えると、その作品を思いながら一呼吸置き、そしてまたすぐ読みたくなる。止まらない。文章については、うまく書けないけど「あとがき」にある

無神経な言葉、粗雑な言葉、生煮えの言葉、気取った言葉、こけおどしの言葉はこの作者の最も嫌うところで、しっかりと根の生えた、素性の正しい、そして打てば響くような敏感な言葉しか彼は使わない。p263

という部分がしっくりくる。短編を読むというのはこんなに面白いのか!