No.012

恒例の「株式投資戦略」メモである。疲れた。次は4ヶ月後くらいと想定する。

  • FRB、日銀、内閣府の先行き見通しに微妙な齟齬。

FRBFOMC「多くのメンバーが景気見通しのリスクについては、下振れ方向に転じたと見ている」。バーナンキ議長(7/23)「異例なほど不透明」発言。市場の関心は、出口戦略から一変し、追加緩和策へ。
【日銀】白川総裁(7/15)「世界経済は回復しているほか、短観でも確認されたとおり、企業収益や景況感は引き続き改善してる。」米国の鈍化に言及しているフレーズはなく、エマージング経済を主因とした上振れリスクさえ指摘している点は、FRBとの明瞭な相違。
内閣府】基調判断据え置きも、米国経済について「信用収縮や高い失業率が継続すること等により、景気回復が停滞するリスクがある」と指摘。

  • 日銀見通しがやや楽観に傾斜。米国経済は雇用環境の改善進まず、住宅の再悪化は明瞭化、牽引役だった製造業にもピークアウト感が著しい。
  • 低迷が続く日本株市場へは、政策期待が高まっている。市場には「1,日経平均9,076円(09/11/27安値)2,円/ドル84.83円(同日)」の条件が揃えば、日銀の追加金融緩和策が発動、との期待感が強いが、日銀が簡単に動くとは思えない。
  • なぜなら、成長のサポート役を「ユーロ安による輸出ドライブ」に期待する欧州首脳陣は、パニック的なユーロ下落とならない限り、「ユーロ安歓迎」であり、「輸出倍増計画」を掲げるオバマ政権も、「緩慢なドル安」が本音と思われる。この場合、公正な競争、貿易相手国の非関税障壁撤廃、為替操作の排除といった項目が重みを持つ。
  • つまり、ユーロ圏、米国ともに輸出をバネに景気回復軌道を着実なものにしたい。これを踏まえれば、日本のみが「為替操作国」のリスクを犯して円安誘導するのは不可能に近い。(しかも、日銀の景況感は、日・米・欧の中でも最もトーンが高い。)
  • 投資マネーフローヘッジファンドがユーロの買い戻しを勧め、円買いにベッドしているのが明瞭。ドル/ユーロの先物ポジションは▲113,890枚(5/11)、▲111,945枚(6/8)から▲27,050枚(7/13)へ。6/71安値1.1876ドルからのユーロのリバウンドは、このショートカバーで説明できる。ドル/ユーロ相場は1.30が壁となっていることも踏まえると、反騰相場は終焉を迎えると見るべき。一方、円/ドルは▲65,612枚(5/4)から+47,359枚の買い越しへ。過去のピークは65,920枚(2008/3)、64,449枚(2004/2)であることを考えるとまだ買い余地がある。米マクロの減速感がさらに加速した際は、85円も想定。
  • 4-6月期の決算発表は堅調なものになると思われるが、先行き見通しには、微妙な変化が台頭か。中間決算期前(8月下旬〜9月)に下方修正リスク表面化する可能性が高い。問題は、だからと言って「介入」とはならないこと。
  • 参院選の敗北を受け、菅首相の目には力が感じられない。小沢前幹事長が動き出したことを考えると、「9月民主党代表選挙」に身も心も奪われているものと思われる。それまでは純粋な「政治の季節」となり、日銀と内閣府の微妙な景況感格差を埋める余地は乏しい。
  • 日経平均は「6月の反発」が10,250円で限界となった事実が表すように、上値が重い。朗報はアジア市場の好調さ。投資スタンスは逆張り押し目買いを徹底。9,500円以下は買いゾーンと見る。