春秋航空

7/29付日経新聞に、日本企業が海外シフトに向けた事業再編を進めている現実を象徴するようなニュースが並んでいた。
パナソニック、三洋・パナ電工を完全子会社化 :日本経済新聞
:日本経済新聞
三菱商事子会社の食品卸4社、経営統合で業界トップへ :日本経済新聞
7/31付では、有力企業の資産合計に占める海外比率が1/3を超えたとの記事。日産は海外従業員が国内を初めて逆転し、ミネベアは資産、従業員、利益とも海外比率7割以上。ビルキントンを買収した日本板硝子は資産の85%が海外である。国内にはR&D拠点等を配置する動きが広がりそうだとあるが、この流れは既定路線で、今後は本社機能をスイスに移したサンスターのように本社の海外移転なども出てくるだろう。
工場などの資産、海外比率3分の1超す 有力660社 :日本経済新聞
利益を生み出すことが企業が市場として魅力の薄れた日本から、視線を海外に移す動きは当然のことである。それはまっこと正しいことぜ。ただ、自分の中ではここ最近新聞等メディアの論調に影響された人たちによる「もう日本はね、少子高齢化でね…」的日本バッシングに違和感も少しあった。それが経済誌春秋航空の経営努力を知り、はっきりとわかった。春秋航空は、「日中往復便4000円」でテレビ等でも大きく報道された中国の航空会社。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201007/2010072800743
設立6年目の新興企業だが、09年、大手航空会社が燃料代高騰などで軒並み赤字に転落する中、増収増益。その記事によると、

董事長は「この本社を見てもらえれば分かるでしょう」と話す。上海虹橋国際空港のすぐ目の前、春秋航空の本社が入居するのは、お世辞にも豪華とは言えない古びたビル。中国全土に路線を持つ航空会社の本社とは思えない“地味”なたたずまいだ。
例えば、経営層から一般社員に至るまで、移動は原則、地下鉄など公共交通機関を使う。中国では企業の管理職は社用車や自家用車での通勤が一般的だが、春秋航空はトップ自らそのルールを実践する。王董事長も海外出張時、中国から3元(約39円)のカップ麺を持参して食費を節約するという徹底ぶりだ。
さらに管理者層の収入を低く抑えているのも特徴だ。張秀智CEO(最高経営責任者)の年収は約20万元(約260万円)。ほかの航空会社トップの7分の1程度だが、代わりに自社株式を与える。「管理コストは4分の1だが、一般社員の待遇や安全などにかけるコストは決して削らない」(王董事長)方針だ。

安全性が問われる分野でのあることは確かだけれども、少なくともJALのような高コスト体質企業に比べ、圧倒的に企業努力をしているのは確か。「1、管理コストは他社の1/4 2,営業コストは他社の1/3 3,平均搭乗者数は他社比45%増 4,幹部層の収入は1/3〜1/7」とあり、自社株の評価益はあるにしても、CEOの年収が約260万円っていう発想は凄い。
コスト削減とは、要するに首切りもあるし下請けいじめにもなる。立場によっては(特に日本人に)受け入れがたいことなのは、日頃中小企業の社長の話を聞いていてよく感じるが、はっきり言って無力感みたいなものをすごく感じる。企業は利益を生み出すのが本質であるとすれば、そのためのコスト削減を怠ることは、利益を生む気がないということぜよ。市場が拡大している国にこういった企業がある。日本企業はどうか、を考えたい。成長市場を海外に求めるのも、法人税率や少子高齢化社会を嘆くのも間違いではないと思うけど、その原因は「日本」なんかじゃなく、会社組織内部にある気がしてならない。うちの会社も大企業病か知らないけど、閉塞感だらけ。仕事をしない高給取りがいくらでもいるのが現実。日本企業の危機意識は、まだまだ足らないんだと思う。これからの世代、海外に大きく遅れをとった日本を前提に世界を見ていかないと、すごく視野の狭い人生になる。これまでの成功体験を知ってる日本企業と、ジリ貧で成長してきている新興企業では、日本企業のほうが改善余地は大きい気がするから、頑張りがいはあると思うがぜよ。