真山仁

マグマ (朝日文庫)

マグマ (朝日文庫)

原発をたくさん持つということは、イコール核兵器の素をたくさん持つことに繋がる」
「冗談でしょう」
「私も最初は、そう思った。だが本当らしい。たとえば日本の六ヶ所村に保存していると言われているプルトニウムなんだが、あれで長崎型原爆が数千発作れる」
〜略〜
北朝鮮原発建設が取り沙汰されている理由もそうだし、そもそも日本が原発を持とうとしたきっかけも、核兵器なくして先進国たりえないという発想があったという説があるくらいだ」p186

一方で、C.キャンベルをはじめとする専門家は、ここ数年が石油産出のピーク(オイルピーク)に当たり、これからは産油量は減少の一途をたどると分析している。p390(あとがき)

やっぱ経済小説はおもろいな、勉強になるし。A永は泣いたらしいけど俺も最後のほうは感動したわ。それより地熱発電の存在は始めて知った。本書に書かれているように、多くの火山が活動している日本の環境にとって、この発電方法はかなり適しているもののように思える。

通常は蒸気発電(flash steam)と呼ぶ方法で、地下のマグマだまりの熱エネルギーによって生成された天然の水蒸気をボーリングによって取り出し(最初から蒸気の場合と、高温・高圧の熱水を減圧沸騰させて蒸気を得る場合がある)、その蒸気により蒸気タービンを回して機械的エネルギーに変換し、発電機を駆動して電気を得る。蒸気を採取するための坑井(蒸気井)の深さは、地下の構造や水分量などによって異なり、数10mから3,000mを超えるものまでさまざまである。 〔参考:Annual Report on Geothermal Energy Development in Japan - 2002 -〕
〜略〜
なお、近年、天然の熱水や蒸気が乏しくても、地下に高温の岩体が存在する箇所を水圧破砕し、水を送り込んで蒸気や熱水を得る高温岩体発電(hot dry rock geothermal power; HDR)の技術も開発されている[1]。地熱利用の機会を拡大する技術として期待されている[2]。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%86%B1%E7%99%BA%E9%9B%BB
本書では、登場人物によって原子力発電は『利権構造と権力構造が生んだ悪魔の選択だp376』と批判されているが、原子力発電についてよくわからないので、今度ちゃんと勉強する。
ちょうど良いタイミングで13日の日経にこんな記事が載っていた。
原油、2030年に1バレル200ドル超 IEA予測発表
↑はwebだけど、紙面では『「エネルギー革命」不可欠に』という見出しで、ほかのエネルギー源へのシフトを折り込んだとしても原油価格の高騰は今後も続き、『2030年に1バレル200ドル超』。『生産体制の強化や、低炭素型エネルギーへの転換など、生産・消費の両面で「エネルギー革命」が不可欠だと強調した。』とのこと。原油価格の高騰の原因を『生産面での不安が急速に強まるため』としているし、地熱発電はちょいちょいアツそうだ。